「知的障害のある子に自分の意思を伝えさせる」というのは、長い目で見てとても大切な支援目標です。以下に、実践的かつ効果がある方法を段階的に紹介します。お子さんの発達レベルに合わせて、できるところから始めてください。

🔑 基本的な考え方
- 意思は「ことば」だけではない
- 指差し、表情、ジェスチャー、カード、タブレットなど「使える手段」で伝えられればOK。
- 伝えたら「叶う」経験を積ませる
- 自分の意思が相手に伝わり、何かが変わる経験がモチベーションになります。
🧩 ステップ別のアプローチ
【ステップ1】まず「選ばせる」練習から
目的:自分の好みや意思を持つことに気づく
やり方:
好きなお菓子2つを並べて「どっち?」と選ばせる
服を2枚並べて「今日はどっち着る?」と聞く
指差しでもOK、声や音でもOK!
✨ポイント:「どれがいい?」→「○○を選んだね、いいね!」と肯定的に返す
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【ステップ2】表現手段を与える
目的:自分の気持ちを伝えるためのツールを持たせる
手段(子の状態に合わせて)
絵カード:「食べたい」「トイレ」「イヤ」「おいしい」など
ジェスチャー:バイバイ=帰りたい、手を出す=欲しい など決める
視線や指差し:意思表示として認めて使う
AACアプリ(iPadなどでタッチして音声が出る支援アプリ)
【ステップ3】「自分で伝えたらいいことがある」を経験させる
例:
絵カードで「ジュース」を出したらジュースが出てくる
指差したらおもちゃをもらえる
拒否カードで嫌な活動を回避できた など
❗大人が先回りして「してあげる」ことを少し我慢して、子どもが表現する「間」をあえて作るのがコツ

【ステップ4】失敗も成功もセットで教える
「上手に伝えられたね!」と褒める
伝わらなかったときは「こうすると伝わるよ」とフィードバックする
🛠補助ツール(参考)
PECS(絵交換式コミュニケーション)
Voice4u、DropTalkなどのAACアプリ
絵カード作成サイト:イラストAC、こどもピクトなど

💬 よくある質問
Q. 言葉じゃないとだめですか?
→ いいえ。非言語の表現も大切な意思表示です。「話す」ではなく「伝える」ことが目標です。
私の子供も、文字から言葉を覚えました。話す前に読んでいました。
Q. わがままとの違いは?
→ 「わがまま」も意思表示の一種。最初は欲求でもOK!それを通して「伝える力」が育ちます。
👩👦最後に
お子さんが「自分の思いを表現できる」という成功体験を積むことで、自己肯定感や社会性もぐっと伸びます。
焦らず、でも諦めず、楽しみながら一歩ずつ行きましょう!